DJ奮闘記「(14)営業が終わったら屋上へ」

「人」

いつもありがとうございます。鳥爺です。

とても最悪のことを考えてしまいました。外で3人組が待ち伏せしているのではないかと。

 正直な気持ち、とても外に出る勇気がなかったので、スタッフが帰った後、内側から鍵を掛け、お店に泊まることにしました。

ディスコのVIPルームには座り心地の良いロングソファがありましたので、寝るには最適です。

また、冷蔵庫にはちょっとした食べ物も飲み物もあります。いざとなったら籠城するしかないと思いました。

寝心地のよいソファでしたが、残念ながらほとんど眠れない夜を過ごしました。

朝になり車の行き来が増えてことを見計らって、店を出ました。

もしかしたら外に居るのでは、と内心怖かったですが、誰もいなくて一安心。

この状況をどうすればいいか相談する人を考えましたが、誰も頭に浮かびません。

また今日は土曜日なので金融機関もお休みです。ここにいてもまた怖い思いをするのであれば、早々に東京に帰ることにしました。

その後、高速道路に乗って3時間くらい走ったからでしょうか、私のポケベルが鳴り出ました。

 当時は携帯電話はありません。自動車電話というのがありましたが、とても高額で私たちには高嶺の花でした。そのため多くの人がポケベルを持っていました。

最寄りのサービスエリアが山梨県の談合坂でしたので、ここに車を止め、電話ボックスから会社(ロムテック)に電話をしました。

「カワダ(仮)さん、という方が電話がほしいそうです」

カワダ? 見当がつかない人の名前です。緊急でどうしても連絡を取りたいということでした。

教えられた番号に電話にかけると、30~40歳くらいの男性の声がしました。

「カワダさんですか? 松本と申し、、、」

と自分の名前を名乗る前に、いきなり大きな声で「今、どこだ?」と怒鳴られました。

「今ですか、今、談合坂です」

「貸した金はどうなった? あんた逃げるつもりか?」と、ドスが効いた声が電話口から聞こえてきました。 

「ちょっと、待ってください。今東京に帰る途中です」

と答えました。

すると「俺には関係ない。すぐ戻ってこい!」と。

 戻ってこいと言われても、あと1時間くらいで東京に帰れるのに。

 「来週ではだめですか?」

と返事をしたら火に油を注いだようです。

 「すぐ戻ってこないと、ウチの若いもんが暴れるぞ。それでもいいのか」

 もしかしたら昨夜いた3人組のことかもしれません。

店で暴れたらお客様に迷惑がかかるし、スタッフも怖いでしょう。

予想外の展開ですが、戻るしかないようです。

「わかりました」と答えました。

 すると

「営業が終わったら屋上に来い」と指示されました。

営業は24時に終わります。

ディスコは4階建の建物の地下ですが、その建物はディスコ以外は無人です。

そこの屋上に深夜呼び出されるなんて、、。

(つづく)

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