いつもありがとうございます。鳥爺です。
今日(2025年10月26日朝刊)の朝日新聞の記事、
「(日曜に想う)飼育舎に空き続々、動物園の150年 コラムニスト・山中季広」には、とても心を動かされました。
この記事は、動物園における「空き獣舎」が増えている現状と、その背景にあるワシントン条約発効から50年の変化を追った内容です。
名古屋市の東山動植物園ではアフリカゾウ舎、静岡市の日本平動物園ではキリン舎が空き家となり、いずれも「動物福祉」や法規制、感染症予防などを理由に新たな飼育を見送っています。
福岡県・大牟田市動物園の椎原園長は「人気動物がどこでも見られる時代は終わった」と語り、“展示よりも福祉”へと舵を切る決断を紹介しています。
動物たちが本来の行動を取り戻せるよう、飼育数を半減し、環境改善を進めているのです。
また、過去の動物園ではチンパンジーに洋服を着せてタバコを吸わせるなど、「見せ物」として扱われていたことも紹介されています。
日本人の“動物園観”が150年の間に劇的に変化してきたことが伝わってきます。
記事の締めくくりでは、日本平動物園に展示された「人間の檻」が印象的に描かれています。そこにはこう記されていました。
〈平和を好み、助けあって集団生活をします。
しかし、他の生き物すべてを絶滅させる力を持つ危険な動物でもあります〉
この記事を読んで強く胸に残ったのは、
「見せるために飼う」から「生きるために守る」への価値転換です。
これはまさに、私たちが鳥の世界で直面している課題と重なります。
鳥たちを“展示”や“癒やしの対象”として扱う発想から抜け出し、鳥自身の尊厳と生態を尊重する社会へ進まなければなりません。
動物園の“空き舎”の増加は、単なる寂しさではなく、「正しい方向に進んでいる証拠」かもしれません。
本来、群れで生きるゾウを無理に1頭で展示しない――その選択には人間の良心が見えます。
鳥の世界でも同じです。群れで生きるインコを孤独にしない。
自由を制限する代わりに、心の健康を守る。
それこそが「愛鳥家」の本当の責任だと思います。
そして最後の「人間の檻」の一文。
私たち人間こそが“絶滅をもたらす動物”であるという警告を、もっと深く受け止めたいものです。
鳥やゾウが生きやすい社会は、結局、人間自身も生きやすい社会につながる――
この記事はそのことを、静かに、しかし鋭く教えてくれています。
<平和を好み、助けあって集団生活をします。
しかし、他の生き物すべてを絶滅させる力を持つ危険な動物でもあります>