第1回「なぜ日本は“ペット後進国”と呼ばれるのか?」

鳥愛(Tori-Ai)

「鳥愛(Tori-Ai)」というイベントを決断した理由①
あなたも感じていませんか?

ペットショップのガラスケース越しに、かわいい小鳥たちが並んでいる光景。
一度は胸がときめいた経験をお持ちではないでしょうか?

けれども同時に――
「この子たちはどんな道をたどってここに来たのだろう?」
「売れ残ったらどうなるの?」
「親鳥や繁殖場の環境は大丈夫なの?」

そんな疑問や不安を抱いたことはありませんか。
実はその直感こそがとても大切で、愛鳥家なら誰もが一度は心に浮かべる問いなのです。

私が歩んできた30年

「鳥業界を変えたい!」――そう強く思って活動を始めてから、気づけば30年が経ちました。

30年前、私が訪れたアメリカの鳥業界は、日本よりもはるかに先を行っていました。
その差は30年。
私は必死に埋めようと努力してきたつもりです。

確かに、この30年で愛鳥家の 意識・知識・良識(私の中での“三つの識”)は

着実に向上してきました。
しかし、肝心の“仕組み”はどうでしょう。

アメリカで見た「当たり前」と、日本の現実

30年前のアメリカでは、鳥を迎えるのはペットショップではなく、

ブリーダーから直接が一般的でした。
繁殖場はオープンで、誰でも訪問でき、ブリーダーと直接対話をし、

鳥の健康状態や環境を見たうえで迎えるかどうかを決める。

さらにブリーダーは、希望者を厳しく見極めます。
条件が合わなければ、たとえ希望しても譲渡してくれません。
迎える人とブリーダーが、まさに対等な関係だったのです。

実際、私もカルフォルニアでオカメインコを迎えたいと願い、

ブリーダーを訪ねました。
しかし一度目は断られ、二度目も断られ……

三度目にしてようやく迎えることができました。
その体験は今も忘れられません。

一方、日本はいまだに「鳥はペットショップで買うもの」という常識が

根強く残っています。
繁殖場の情報はほとんどなく、ブリーダーの顔も知らない。
この現実は、30年前から何も変わっていません。

変わらなかった責任は、私自身にある

私は、この状況を知りながら活動を続けてきました。
それなのに、根本的な仕組みは何も変わらなかったのです。

その事実に向き合うと、自分の非力さを悔やまずにはいられません。


しかし同時に、残された時間を思うと――
「もっと革新的なことをしなければ、未来は変わらない」
そう痛感しています。

もちろん、旧態依然とした鳥業界においては、反発やしがらみも多い。
それでも私は思うのです。

「もう待てない。今やらなければ、一羽でも多くの鳥たちを幸せにできない」

その覚悟の先に生まれたのが、「鳥愛(Tori-Ai)」というイベントです。

では、なぜ日本は“ペット後進国”と呼ばれてしまうのでしょう?


その背景には「生体販売の仕組み」があると私は考えています。

次回は、その仕組みに潜む“10のリスク”を整理しながら、

鳥と飼い主を取り巻く現実を深掘りしていきます。

(第2回に続く)

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