絶滅を知った人間、守りたい未来。鳥たちと歩む道

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今朝の天声人語に、胸の奥が「コトン…」と揺れる一文がありました。
「人類は進化よりも先に“絶滅”を発見した」。
なんとも逆説的で、でも妙に腑に落ちる言葉です。

 大航海時代、人間は世界中から珍しい生き物を「これでもか」とばかりに集めました。ところが、持ち帰った標本を眺めているうちに気づいてしまったのです。
――あれ? この生き物、もう地球上にいないぞ?
人類が“絶滅”という現象に初めて気づいた瞬間です。
進化論が生まれるより早く、私たちは「いなくなってしまう」という現実を先に知った。
そこに私は、妙に人間らしさを感じてしまいます。
だって人間って、「失ってから気づく」生き物でしょう?(耳が痛い方は…鳥爺と同じ仲間です)

 今、科博で「大絶滅展」が開かれているそうです。ビッグファイブ――大量絶滅の歴史をたどる展示。恐竜が消え、哺乳類が栄え、人類へとつながった道のり。
絶滅は悲劇でありながら、次の命の躍動を生み出す舞台でもあった。
地球は46億年の長い歴史のなかで、「失われては生まれ」を繰り返してきました。

 しかし展示の最後にある言葉が、どうにも心に刺さります。
「第6の大量絶滅期に生きる私たち」
…そう、いままさに私たちは“その渦中”にいる。
しかも原因は小惑星ではなく、人間
気候変動のスピードは過去の大絶滅を上回るというから、背筋がひやりと冷えます。

 鳥爺本舗として日々「鳥と人の未来」を考えていますが、こういう話を読むたび思うのです。
――鳥たちの命のバトンを、私たちはちゃんと受け継げているだろうか?
暖かい部屋で寝ているコウやん、マンゴ、ウイリーの寝息を聞きながら、ふと考えてしまいます。
彼女たちは、ただ生きているだけで「地球の歴史の証人」です。
その命が安心して明日を迎えられる環境を守るのは、人間の責任のはず。

 真鍋さんは「生命のリレーをつなぐためには、世界中の人々が言葉を交わさなければならない」と書いています。
分断が深まる時代に、そんなことができるのか。
――私は、できると信じたい。
だって、言葉は人間の専売特許ではありません。
鳥たちは毎日、誰かの心をつなぐために鳴き、歌い、寄り添っているのですから。

 だからこそ私たち人間も、もっと話そう。
もっと聞こう。
もっと共有しよう。
「いなくなってから気づく」のでは遅いのです。
鳥たちとの暮らしがそう教えてくれています。

 絶滅が“発見”されたのは偶然かもしれない。でも、未来を守るのは偶然ではなく「選択」です。
今日、あなたの隣の鳥さんが生きていてくれる幸福を、どうか大切に。
鳥たちと私たちがともに次の100年を生きられるように――。

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